スリランカの最南端、ウェリガマと言う村はスキューバの穴場と言うくらいでしか観光客のあまり訪れないとても静かな場所です。
まず初めに驚いたのは日本語とちょっぴり似ているシンハラ語です。
いくらこの土地で一番の高級ホテルと言われても田舎ですので日本のホテルのようなサービスを期待はしませんでした。
ところが、荷物を自分で運ぼうとしたところホテルの人が 「ア~。カマネ、カマネ。」 少し雑だけど日本語分かるのか、と感心している所でレセプションの方に説明してもらいました。それがシンハラ語で「あぁ構わないですよ」と言う意味だと言う事を。
テラス付の立派なお部屋からテラスに出るともうそこからの眺望は海一色。 部屋の壁には綺麗な絵も飾られていました。
ただ、絵の裏にとんでもない数のヤモリを発見しさすがに一瞬固まりましたが、このスリランカのヤモリ、田舎だとどんな高級ホテルでも絵の裏を見ると必ずいるそうです。
また、ホテルのお庭に、何故か孔雀が放し飼いになっていました。
日本でも動物園の鳥のコーナーなどに行けば孔雀を見ることは出来ますが、触れるかもしれないシチュエーションで孔雀を見るチャンスなど滅多にありません。
そこで孔雀はこれを食べると言ってホテルの人が渡してくれたのが、何と、バナナです。
孔雀がバナナを食べるなんて予想外でしたが、孔雀に餌をやる機会も滅多にありません。 ところが皮をむいて差し出してもチロッとバナナを見るだけでなかなか寄って来てくれません。
やはり孔雀にバナナでは無理があったのではないかと、一緒に挑んだ友人の方に顔を向けたほんの一瞬、バナナは孔雀に奪われていました。
至近距離からの「人の施しなんて受けない、これは自分で獲った」とでも言わんばかりの孔雀の視線にプライドの高さをつくづく感じました。
スリランカ料理もやはりカレーが主食
インドでは南に行く度にカレーの辛さが増すと言いますが、さらにその南に位置するスリランカのカレーはインドどころでは無い激辛です。朝はココナッツの実を砕いたものにカレーをかけて食べるのですが、ココナッツの甘さとスリランカカレー独特のスープっぽさと辛さが絶妙にマッチして意外にはまります。
大げさな話ではなく、帰国後しばらく日本のカレーはシチュー程度にしか感じられず食べられなくなった程なのですが、実はスリランカ滞在中お腹を壊してしまいました。水差しの水を飲んでも大丈夫だったのに何に当たったのかは不明ですが、お腹に走る激痛にホテルのお掃除のおじさんが、
「レモンティーを薬代わりに、一日三食ココナッツミルクとココナッツジュースだけで過ごせば腹痛は治る」と言うのです。
ホテルでレモンティーを頼んだところ、さすが旧セイロン島だけあり紅茶は当たり前のように出て来たのですが、添えられているのはどう見てもライムです。
これはライム、レモンが欲しいと言ってもホテルの人はライムを指さしてこれがレモン、ライムなんてものは知らないと言うばかり。お腹が痛いのにホテルの従業員と、紅茶に添えられた緑色のどう見てもライムを指さしてレモンかライムかの押し問答になってしまいました。
この時はお腹の痛さに負け、ライムティーを飲む事になったのですが、これにはちょっとした後日談があります。
スリランカでは本当に日本で言うレモンは無いようで、日本で言うライムをレモンと呼んでいるようなのです。
帰国して何年もたった後、アルバイトしていた飲食店でスリランカ人のスタッフにライムが切れたので買って来てほしいと頼んだところライムが分からないとの事でした。
その場にライムが無かったので、レモンを見せ、これに似た緑色のもう少し丸い形の物がライムだと教えたところ、彼が買って来たのはカボスでした。
後でライムを調達して説明したところ、それはレモンだとやはり彼も言い張りました。万国共通だと思っていたことも意外とそうでは無いのかも知れないと思い知らされました。
この民間療法の効果ですが、驚いたことに1日で治りました。
旅にトラブルは付き物ですが、トラブルのおかげでその土地の人の優しさに触れる事の出来た貴重な思い出です。